先日
と書きました。これの原因のちゃんと調べてみました。
まずAD8307 のデータシートには以下のような記述があります。
要約すると、
- シングルエンドアプリケーション時 (入力の片方のピンがAD8307のGNDに接続されている場合) は 3V のとき 10dBm までの入力が可能。
- 差動接続の場合は2.7Vでも16dBmまでの入力が可能
と書いてあります。
これを見て 3V でも +10dBm まで使えそうだな、と思ってしまいました。
出力が頭うちに
しかし実際 3.3V で使ってみると、10dBm 入力しても想定した出力がでません。よくよく調べてみると、英語版の最新データシートだと以下のような記述がありました。
要約すると 出力回路に2つのトランジスタがあるので、4V未満ではこれらの 分出力が低下するよ、という感じのようです。出力回路の制限なわけですね。
が 0.7V とすれば2つで1.4V、電源電圧が3.3Vなら、出力電圧は1.9Vまで低減されます。これを入力 dBm に換算すると-8dBm付近になります (実際の や によります)。
が -84 dBm、 が 25mV/dB で が 1.9Vだと -8dBm になります。
ということで、実測だと 3.3V 時に出力が頭うちになるのは完全に「仕様」なのでした。
結論
つまり、3.3V で使う場合で、-8dBm 以上入力させたいなら、傾きの調整が必須なのです。
傾きを 20mV/dB にすれば、 1.9V で +11dBm になります。20mV/dB に設定する方法はデータシートにそのまま載っていて、32.4kΩの抵抗と50kΩの可変抵抗を直列にして AD9807 の OUT と COM に接続 (内部の出力抵抗と並列に接続) して調整すれば良いようです。
といっても調整するのが面倒なんですが…
- トップ
- tech
- AD8307 を 3.3V で動かすときの罠