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移動運用時にワイヤーアンテナをお手軽に張れる方法を考えていた。10m超のケーブルを絡まらずに持ち運んで設営して回収するとうのは普通にやるととても難しくて、しかも一度絡まるとヘタに長いだけあってとてもつらい気持ちになるし、考えただけでやる気がなくなる。

少し前にYO-YO-TENNAというアンテナを見付けて「めっちゃええやん」と思い、試したくなった。単にヨーヨーみたいにケーブルをまきとってしまえるという代物。

しかし商品がそれほど高くない (2つで$39.95) し、構造的に別に難しいところも全くないので、高額で時間がかかる輸送をやる気も起きなかった。

自作

構造が簡単なら自作すればいい、ということで、冒頭の写真のように2つ作った。

Yo-Yo-Tenna はヨーヨーと言ってるが実際流用しているのは、キャンプ用のランドリーリールと呼ばれるもののようで、ほぼ同じのがかなり安く国内でも手に入る。

キャプテンスタッグ ランドリーリール M-7768 - キャプテンスタッグ(CAPTAIN STAG)

キャプテンスタッグ(CAPTAIN STAG)

3.0 / 5.0

今回はこれを使った。

エレメントとなるワイヤーはAWG22 1007 (被覆が薄い=耐圧が低い) もの。外形1.5mm程度で 0.3sq と細いが、ある程度長さを巻こうとするとこれ以下でないと厳しい。

材料が手に入れば、あとはランドリーリールを分解してワイヤーを計って巻くだけなので何も難しいことはない。あえていうならワイヤーの長さを測るのが面倒くさい。

今回ワイヤーは1つにつき20m巻くことにした。つまり3.5MHzのλ/4までカバーしようという目論見がある。ただ、AWG22 であっても、このランドリーリールに20m巻くとかなりキツキツでぎりぎり。

オリジナルだと先端にはワニ口クリップがついているが、自分はバナナクリップにした (KX3 + BNC計測器用ターミナル変換に直接繋げるため)。

試し

ちょっとタイミングが悪く実際の運用はできていないが、室内で同調とるまでは試してみた。λ/4 の垂直系アンテナ + ラジアルのイメージ (なので入力インピーダンスは理論値だと36Ωぐらいになる)

あまり長く張ることができないので14MHz帯で同調させてSWRを落とすことを考えてアナライザーで見ながら試行錯誤した。以下のような手順で調整すると結構簡単にSWRが落ちる。

  • アナライザーに直結して繋ぐ (最終的にKX3に直で繋ぐため)
  • ホット側とコールド側あわせてλ/2ぐらいになるようにワイヤーを出す
  • アナライザーで複素インピーダンス表示にして、まずはリアクタンスを0になるようにする
    • 長くする場合はホット側、短かくする場合はコールド側をいじる (レジスタンス成分が低くでることを想定してオフセンター気味にする)
  • レジスタンス成分が50Ωよりおそらく低いので、ホット側を少し長くし、コールド側ど同じ分だけ短かくする
    • 高い場合はエレメントの張りかたを変えたりしてから (角度など)、ホット側とコールド側が同じ長さになるように調整する

これで、非常に悪い環境でも同調+インピーダンス50Ωは結構簡単に達成できた。KX3 直結の場合は同調させさえすればあとはチューナーであわせてもいいと思うけど、アナライザーがあれば完全にあわせこめるのでチューナーもいらない感じがする。

調整してみると出しているワイヤーの長さに応じてアンテナ系全体のインピーダンスがちゃんと変化することがわかった。ホット側とコールド側いずれも自由に長さを変えられることで、調整の自由度が非常に高い。

懸念点

外に出ているワイヤーの長さを可変できるといっても、残りの部分は絶縁もショートもせずにコイル状に巻かれているので、これがどういう働きをするのか疑問がある。とはいえ、たとえコイルとしてトップローディング的に動作しても、トップローディングの場合非常に大きなインダクタンスが必要になる部分だし、先端は電波が飛ぶところでもないので、あまり影響はなさそう。ただ、波長の短かい一部バンドで同調がとれなくなる感じがしたので、追試をしたい。

あとは実際運用してみたい。

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KX3 を購入したとき、純正のマイクは買わなかった。というのも、そんなマイク使わない (というか今のところ音声での交信数ゼロ) ので、もったいなかったからだ。

とはいえマイクでも出れるようにしたいと思いつつ、PC用のコンデンサーマイクとかを試していたりしたが、せっかくなので FT-450D に付属している MH-31 というマイクを使いたいと思い立った。

KX3 のマイクの仕様

純正マイクは持っていないが、回路図は公開されており参照できる。大変ありがたい。KX3 側のマニュアルだと MIC 端子のピンアサインは書いてあるが、UP/DOWN スイッチの仕様などは書いていない。

これと同じようになるように、MH-31 を配線しなおす。

MH-31 の仕様

MH-31 は RJ-45 ジャックを持っており、FT-450D も RJ-45 ジャックになっている。付属のカールコードは電気的にはストレートのLANケーブルとほぼ一緒っぽい。

特にカールコードにこだわりはないので、100均で黒くて細いLANケーブルを購入し、1m 程度で切って配線しなおした。

左側は MH-31 の内部回路と結線。右側が今回作った部分。TRRSプラグの中に抵抗も無理矢理押しこんでエポキシで固めたので、見掛けはかなりスッキリしてる。

使用感

特にどうということはなく普通に使える。FST スイッチは無効だが UP も DOWN も機能してる。ただ、マイクゲインを結構上げなければならない。KX3 側のマイクバイアス電圧が3Vと、本来 MH-31 が想定している 5V より低いせいかもしれない。

黒いLANケーブルなので、見た目も悪くない。思ったより良くできた。ただ MH-31 は中に重りが入っているらしく、無駄に重いのが良くないところ。

余談だけど100均のLANケーブルはピンアサインとケーブルの色が対応してない(適当に圧着してる?)ので、よくよくテスターで確認したほうが良い。

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よくある、マイナス側がスプリングになっている電池ケース、直列10個のものを使っていたが、どうも電圧降下が大きい気がしたので計ってみたところ、端子一組あたり67mΩほど抵抗があった。

10個直列で入っているので、およそ合計で 670mΩ の抵抗が直列で入っている。つまり 2A 流すと、これら金具だけで 1.34V も電圧降下が起きてしまう。約 2.68W もの電力がケースだけで失なわれる。

検索したところ、この手の電池ホルダーの性能があまり良くないのは有名らしく、特にスプリングの材質があまりよろしくないようだ。

いろいろ探した結果アメリカ Keystone 社の電池ホルダーがよさそうということがわかったが、廃盤のようで非常に高価になってしまっている。昔は秋月で100円ぐらいで売っていたみたいだけれど、今はもう単4のものしかない。

ということで、代わりにaitendo の電池ホルダで作ってみた。(秋月にも同様の製品はある)

これで作ってみたところ、電池1つあたりの電圧降下は 1A のとき 5mV つまり抵抗値は 5mΩ になった。10本で 50mΩ ということになり、2A時でも 100mV の電圧降下に抑えられ、大きく改善された。

この電池クリップ(ホルダー)は基板にうまく固定する必要があって面倒なのと、プラス/マイナスの入れ間違いをしても気付けない (フェイルセーフがついてない) ので、あまり好ましい感じではない。が、電池ケースでやたら無駄に電力が熱に変わるのは嫌なのでしかたない。

測定方法

テスターの抵抗測定機能だと微小抵抗はちゃんと測れないので、デジタルマルチメーター2台による4点計測方式で測定した。

電池の金具部分に比較的大きな電流 (経路中の定格を上回らない程度) を流し、測定対象で降下した電圧を計って抵抗値を求める。今回は直読できるように、安定化電源の定電流モードで、丁度1A流れるようにして測定した (1A 流した場合、R = E / I なので、R = E になる)

ただし、電池を入れた状態での測定ではないので、電池の端子との接触抵抗は測れていない。あくまで金具中の抵抗値だけを計っている

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