前に書いた気がするけど、ECMAScript の var
は Io の setSlot に似ている。
var foo;
と書くと、既存のスコープの変数オブジェクトのプロパティに foo が作られる。そして foo = "1";
を書くと、スコープチェインの最初に、作られた foo プロパティを発見するため、そこに代入される。
一方 foo = "1";
を var
無しにいきなり書いた場合、スコープチェインの末 Global オブジェクトにいきつき Global オブジェクトのプロパティに新たに勝手に foo
が作られて代入される。
// Global Code の開始 // Scope Chain: [Global] // Variable Object: Global //---- // Variable Object (Global) // のプロパティ foo に "foo" が代入される。 var foo = "foo"; // 上に同じ var bar = "bar"; function foobar() { // Function Code の開始 // 新たに Activation Object (=このコンテキストでのVariable Object) が作られる。 // (このとき arguments プロパティが自動的にセットされる。) // Scope Chain: [foobarActivationObj, Global] // foobarActivationObj は仮の名前で実際にはアクセスできない。 // Variable Object: foobarActivationObj // Variable Object (foobarActivationObj) // のプロパティ foo に "fbfb" が代入される。 var foo = "fbfb"; // Identifier があると Scope Chain を辿る。 // この場合最初の foobarActivationObj に foo を発見できる。 foo = "bfbf"; // この場合最初の foobarActivationObj に bar を発見できないため // Scope Chain を辿り、Global で bar を発見する。 bar = "bzbz"; // この場合 Scope Chain をたどって、Global に行き着いても発見できないため // 勝手に Global に baz プロパティを作る。 baz = "baz"; baz.foo = "foo"; with (baz) { // with は Scope Chain の先頭に // 指定オブジェクトを突っ込む // Scope Chain : [baz, foobarActivationObj, Global] foo = "bar"; // Variable Object は変わらない var f = "!!!"; } baz.foo; //=> "bar" baz.f //=> undefined f; //=> "!!!" } foobar(); foo; //=> "foo" 最初にグローバルで代入したまま bar; //=> "bzbz" 書き換えられている baz; //=> "baz" グローバルで一切でてきていないのに存在する
Io の場合 =
(updateSlot) はスコープチェインに Identifier を発見できない場合例外が発生する。現在の変数オブジェクトのスロットに突っ込むときは :=
(setSlot) を使用する。Io は明確な決まりがあるんだけど、ECMAScript は曖昧。気が付くと Global オブジェクトにプロパティがだらだらできたりする。
微妙にわかりにくいのは、Global Code においての Variable Object が Global で、変数に this.foo
というようにアクセスできるのに対し、Function Code の Variable Object には一切触れないこと
ときどき関数中で var a = b = c = 0;
って書いているのを見かけるけど、この場合の b, c は Global オブジェクトのプロパティ (または途中であるならその変数オブジェクトのプロパティ) になる。var a, b, c; a = b = c = 0;
とか書くのが正解。
Prototype Chain もそうだけど、「見えないオブジェクト」がいくつかあってなかなか怖い。