だいたい固定されたので書く。でも書かないほうがいいかもしれない。基準が曖昧だ。だから、曖昧に書く。

当たり前だけれど、正しい解釈は存在しない。いや、間違った解釈は存在しない。感じたままでいい。だから、もし指輪を聞き込んでいないなら、なおさら読まないほうがいいと思う。

指輪は BEST に収録されており、解説がついているから、それを参考にする。っていうかこの解説が既に意味不明なのがどうもこうも。ぎりぎりセーフってなんだよもう。

解説には三つのヒントがある。それは「指輪」が、「いつでも振り返る事で新しいステップを踏み出す力をくれる、思い出」を唄っているということと、「望んだ世界はどうだった?」は過去の自分による今の自分への問いかけであるということ、そして「望んだ世界」は今の自分にとって「どうしよもないもの」であること。これを前提にして考える。

最初の部分は悪い状態の自分に関するところ。子供たちは残酷に笑う 皆いつか 大人になるから だけど気負ってない こんな眼はしてない までのところ。「大人になるから」とあるけど、たぶん「大人になるのに」という意味だと思う。大人になって汚くなっていくことが決まっている子供たちを見つつ、汚くなっていくことに対して気負いがない純粋さが、自分にとって残酷である、ぐらい。子供たちは気負っていないけど、自分は気負っているわけだ。汚くなりかけの時期に、汚くなりたくないことを望んで。

そいで少し飛ばして 何か忘れたろ? そんな眼をしてるだ。自分は何かを忘れている。あとでもう一度この問いかけが繰り替えさえれるけど、その忘れたモノをしっかり思い出すことが「指輪」の目的である。

忘れたものを思い出すために、ピカピカのピンセットで腐乱した情熱の解剖実験をする。解剖実験は記憶をほじくりかえす作業そのもの。

で、思い出したのが「あの日細い指に 錆びた指輪をして 全てに笑いかけたろ」なわけだ。笑いかけているのはまだでてきていないけど「君」なはず。「君」って誰だかわからないけれど、とりあえず綺麗なので女の子ってことにしとく。いやどうでもいい。ここで重要なのはもちろん「錆びた指輪」だ。「錆びた指輪」はおそらく「腐乱した情熱」と同じもの。「君」は腐乱した情熱をもっていたのにも関わらず、笑っていた。

何を恐れてんだよ 錆びた指輪でいい 気取っている場合じゃないだろ 「錆びた指輪」は「腐乱した情熱」と読み替えてもいい。「気取っている」というのは、純粋なままであろうとするということ。腐らないように、錆びないように生きていくことが「気取っている」こと。

ここで戻るけど いつかここは地獄と言ったろ それは嘘で実はよく分からない 別に気取ってない そんな不快じゃない がわかるようになる。いつかここを地獄といった。地獄というのは腐乱した、錆びた世界について自分が持っているイメージだ。でも、だんだん気持ちが変わってきている。腐乱していて、錆びている世界でもいいのかもしれないと思い始めている。気取っていない、すなわち、自分の素をさらけ出した状態でも、「そんな不快じゃない」と思えるようになった。という変化。

何を忘れたの? それを確かめなきゃ 「生きる意味」も軽いだけ ここでまた忘れたものは何かという問いかけがある。ピカピカのピンセットで腐乱した情熱を解剖して、思い出し、確かめないといけない。気負ったまま、笑えないままでは「生きる意味」も軽いのだ。

そして「あの日細い指に」と入る。君は指輪をして 世界一の笑顔で -snip- 「全て」に笑いかけたろ。「君」は錆びた指輪をしつつも、世界一の笑顔で笑っていられた。腐乱した情熱の中に、硬いガラス玉のようなものを持っていられた。硬いガラス玉というのは、すなわち忘れたモノである。記憶の中の「君」を通して、忘れたものを見つけられた状態が最後の部分。変わっていない部分があるということに気付く。

それで最後に「望んだ世界はどうだった?」だけど、「望んだ世界」がなんだったかというと、純粋なままでいられる世界・純粋なまま生きていける世界。でも、結局どう転んでも、変わらない部分があることがわかっていれば、表向きが腐ろうが錆びてしまおうが、あまり関係ないわけだ。だから、そういう世界にこだわっても無駄だし、「どうしよもなかったもの」と笑い飛ばせる。

つまり、自分が腐ってしまった、あるいは、腐ってしまうかもしれないと思うときに、いつまでも根底に変わらないものがあることを思い出させるのが「指輪」なわけだ。終わり。

「プラチナ」について言及しなかったけれど、それはぶっちゃけよくわからないから。腐食に強い金属の代表かな? エンゲージリング (マリッジリング) によく使われるからかしら。安直だけど

「全てに笑いかける君」という非現実さと、「冷たい水を求める」理想感と、「腐るしかない」ということを暗示させる現実感が共存しているのが美しいと思う。

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