写真の意義とはなんだろうとしばしば考える。特に絵画に対しての強みとはなんだろうと考える。絵画はとにかく、書く人の個性は作品を見れば一目瞭然だけれども、写真は所詮現実を機械の力を借りて写しているに過ぎないし、同じ設定で、同じ場所で撮れば、誰がシャッターを押しでも同じだ (セッティング済みのセルフポートレイトのシャッターを他人に押させた場合、それはだれの作品になるだろう)。ようは良くも悪くもインスタントなのだ。

ひとつは、写真があくまで現実の写していることが、そのまま強みであろうと思う。絵画はやはり、現実には存在しえない演出が可能であるから、そういう意味で「これはあくまでフィクションだ」と冷めてしまう場合があるけれども、写真であれば、写っているものは現実なので、そういうことはない。写真は、どんなに演出をしたとしても、絵としてそれを書かない限り、ノンフィクションとしてある程度説得力を持ち続ける。

また、圧倒的な情報量は、具体的な描写を通して (暗喩として)、何か直接的には言いづらいメッセージを出せるように思う。ただこれは絵画でもやろうと思えばできる。組写真による、より強い暗喩というのも、やはり絵画でできないこともない。ただこれらの手間の違いは比べものにならないので、写真でやる意義がある。