PC関係だとよく VRM (Voltage Regulator Module) フェーズ数という用語にでくわす。マザーボードやグラフィックボードのレビューを見ると「電源は6+1フェーズ」とかと書いてある。特に説明もないので意味不明である。

結論

先に結論を書くと、フェーズ数は多ければ多いほど良いというものではない。それに電源回路の良し悪しはフェーズ数で決まるわけではない。そういうものなので、こういう表記を見ても無視して良い。

マルチフェーズ同期整流

フェーズ数を理解するためには、マルチフェーズ同期整流について理解しないといけない。そもそもここでいう「電源回路」は定電圧 DC/DCコンバータのことで、外部供給の12Vを3.3Vや1.8Vなど安定した低圧大電流に変換することを言っている。

同期整流はローサイドもハイサイドもFETでスイッチすることによって高効率に整流を行うことをいう。このとき、スイッチングによって出力にリプルが発生する。そこで、ハイサイドFET・ローサイドFETのスイッチのセットを複数に増やして、それぞれのスイッチを少しずつ位相(フェーズ)をずらして整流させることで、よりリプルが少なく安定した定電圧電源とすることができる。

つまり「VRM フェーズ数」の「フェーズ」とは「位相」のことになる。1フェーズにつき少なくともFET 2つと、スイッチングコントローラ回路が1つと必要になる。(ただしフェーズが増えてなくてもFETのペアの数をフェーズとしてカウントする間違った宗派もあるっぽい)

基本的にはフェーズ数が多いほうが高級とされている。部品点数が増えるので価格が高くなる。フェーズ数が多いことの利点としては

  • 電源供給が安定する
  • FET 1つあたりの電流を減らせる
    • 発熱が分散するので放熱しやすい
    • 部品の高さを抑えられる

欠点は

  • 部品点数が多いので
    • 価格が高くなる
    • 故障率が上がる
  • スイッチング損が増え、効率が下がる (特に低電流時)

回路まわりは、これが図ありでわかりやすい

6+1 とか 8+2 って表記は何なの?

マルチフェーズ同期整流についてわかっても、この表記は意味不明。

結論からいうと前の数字がCPU(GPU)コア用の電源のフェーズ数 (大電力) で、後と数字はCPU(GPU)のコア以外用のフェーズ数のようだが、この表記を誰が決めて使ってるのかさっぱりわからない。(ソースを探したけどわからなかった)

フェーズ数以外のVRMの要素

  • FETの数や性能
    • 具体的にはオン抵抗、並列にすれば減らせるが部品は増える
  • 同期整流コントローラの性能
    • 負荷追従性など
  • PWM 周波数
    • 高いほどコイルが小さくでき負荷追従性が上がるが、FETでのスイッチング損失が増えて効率が下がる。ノイズにも関係ある。
  • コイルの性能 (Q値)
    • コイルの直流抵抗値が低いほど低損失だが部品が大きくなる
    • コアの材質でも損失が出る
  • コンデンサの性能
    • ESR (等価直流抵抗) が低いほど負荷追従性が高く、リプルが減る

ちょっと考えただけでもいろいろ要素がありすぎるので、フェーズ数だけで何かを判断することはできない。

所感

最近のマザーボードは重要な機能はチップセットに殆ど統合されたしまったので、表面にほとんど部品が載ってない。そうすると見た目的にインパクトがあるのが電源回路だけになる。

マルチフェーズにするとFETとコイルが並んでかっこいいので、マルチフェーズがもてはやされるみたいなところがありそう。インターフェイス (M2 とか PCI-E とか) が進化しても、マザーボードの見た目的にはインパクトがないんで、電源を盛るみたいなことだと思う。

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