いくつか回路をシミュレーションしたが、ClassAA のヘッドフォンアンプは今まで作ったことがなく、ブリッジの応用の部分がかっこいいので、実際に作ってみたくなった。比較的高出力なオペアンプを選べば能動素子をオペアンプ以外使わなくてもかなり良さそうなので気が楽だ。
回路
シミュレーションで、出力や発振しないかなどを確認した上で、実装しやすいように (手元にある部品で作れるように) 定数を変更している。
ブリッジにしろ、帰還抵抗にしろ比率が保たれていれば良いので、比較的自由がある。
増幅率は3倍にしてあるが、1〜2倍程度でもいいかなという気がする。あまり下げると (つまり帰還を多くすると) オペアンプによっては発振しやすくなるみたいだが、事前にシミュレーションしてある程度確認できるぶん、定数設定が楽だ。いわゆる Zobel フィルタ (高周波発振を防ぐ) は入れてないけど、負荷をちゃんとシミュレーションしていないので、安全のためにはいれたほうが良さそう。
出力インピーダンスはほぼ出力についている抵抗値に等しくなる (=1Ω)。入力インピーダンスはボリュームの値になる (=10kΩ)。
電源
±9V の両電源をトランスから、リニアレギュレータを介して生成している。これは特に理由はなく、もともとあった昔作ったヘッドフォンアンプの電源を流用しているため。高校生ぐらいのときに作ったところなので、ちゃんと作りなおしたほうがよさそうだけど、そのまま…
実体配線図
例によって Eagle に回路を起こしなおし、基板検討を行い。C基板 (25×15 穴) にほぼ収まるように配置した (GND ラインがはみだしてる)。ブリッジ部分が綺麗に配線できるか心配だったが、思いのほか綺麗にいった。ジャンパはパスコン部分だけ。
低周波回路では基板上でも一点アースにして共通インピーダンスをなくすのが非常にノイズ対策に効くのだが、基板の面積的に厳しいので、GND と V+ V- を太めのスズメッキ線を使って配線するようにした。
実際つくったもの
その後検討しなおしたもの
できるだけ、電源の配置を電流が多く流れる出力側にしたり、基板サイズにあうようにした
測定
オーディオアナライザなどはないので、簡易的な測定しかできない。PCオーディオインターフェイスを介して測定を行う。
測定環境
Xonar U7 のヘッドフォン端子から、ヘッドフォンアンプに入力し、ヘッドフォンアンプから、Xonar U7 のライン入力に繋いでいる。
この状態で RMAA (RightMark Audio Analyzer を使って測る)
測定環境ではループバック測定した場合 THD 0.0019% / SN -110dB 程度。これよりも精密な測定はできないので、これよりも悪くなければとりあえず良いということにする。
測定結果
全体的にそんなに悪くはなさそうだけど、測定限界まで良いとは言えない。Noise level の FFT を見ると、電源を内蔵としたためか、50Hz とその高調波が出力に少し出ている (最大で -100dB 程度)。耳には聞こえないレベルではあるがちょっと気持ちは悪い。これをどうにかしないと測定限界を超えられなさそう。
つまり何も考えないで作った電源がネック
まとめ
別にこれによって音が良くなったかとかは感じないのだけど、自分で作った回路を通して音を聞くというのは気分が良い体験で、面白い。
あいかわらずノイズ対策が最も難しく感じる。いまいちどこから飛びこんでいるノイズなのかがわからない。ボリューム位置で少し変化するので少なくとも入力には多少入っているみたいだ。聴覚上聞こえなくても測定はできる。
できれば、最近そこらにころがっている5V USB を電源にしてコンパクトに作ってみたい。5V から昇圧をかけてノイズフィルタとレギュレータを通す、みたいな。