なぜセンス抵抗というものが必要なのだろうと疑問に思った。低抵抗で高精度なものは一般的な抵抗に比べると10倍から100倍ぐらいの価格になる。
一方でセンス抵抗を使うときに頻発するのが、パターンの配置に気をつけないとパターン自体の抵抗が影響するというやつで、そんなにパターンに抵抗があるならパターン自体で電流センスしたらいいのではないかと思っていた。
パターンの抵抗はどれぐらいか
電流センス抵抗(シャント抵抗)は普通10mΩとか、あるいはもっと低抵抗値のものが使われる。
銅箔パターンの抵抗値は配線のアスペクト比で決まる (ref. http://www.tij.co.jp/lsds/ti_ja/analog/powermanagement/hints/power_sel_hint52.page )
20°C のときの銅の電気抵抗率 1.68e-8、1oz (35μm) の銅箔パターンの場合、1:1 の比の場合 。
1:10 の比の場合は 0.48 * 10 で約5mΩの抵抗値を持つことになる。基板上のパターンで電流センス程度の値の任意の抵抗値を作るのは割と簡単そうである。
銅の温度特性
しかし銅を抵抗として使おうとすると温度特性が問題になる。銅の温度特性は 4.3e-3/°C で、温度が高くなるほど抵抗値が上がる。
これはかなり大きい変動で、±10%の範囲に納めるには温度変化が±23°Cに収まる必要がある。もし±1%程度の精度を求めるなら±2.3°Cという極めて安定した温度でなければいけない。
抵抗のデータシートに書いてある温度係数単位 ppm/℃になおすと、4300ppm/℃ となり、一般的な(高精度ではない)抵抗の±300ppm/℃と比べてもケタ違いに大きい。
まとめ
ということで、これではとても高精度な電流センスはできそうにないので、代用できるケースはとても限られそうということがわかった。