このサーバはVPS 1台で動いていて、メモリは1GBしかありません。常時メモリ上限まで使いきっており、スワップファイルもそこそこあります。そういうわけで、できるだけメモリ消費をケチりたいのです。
稼働率の低い複数のサービスを1つのプロセスにまとめる
このサーバ上で動いているサービスがいくつかあるのですが、実際のところどれも殆どアクセスはありません。一番アクセスされていてこの日記システムぐらいです。
それらのサービスをそれぞれ別プロセスで起動させておくと、たいへん無駄なので、できるだけプロセス自体を同居させています。
psgi の vhost 化
Plack::Builder が提供している mount() を使うと、vhost を実現できます。
builder {
mount 'http://lowreal.net' => do {
my $guard = cwd_guard("lowreal.net/");
Plack::Util::load_psgi("script/app.psgi")
};
mount 'http://env.lowreal.net' => do {
my $guard = cwd_guard("env.lowreal.net/");
Plack::Util::load_psgi("script/app.psgi")
};
};
このようにすると、Host ヘッダに応じて、ディスパッチするアプリケーションを変えることができます。
これを利用して、複数の psgi アプリケーションを1つの psgi アプリケーションにまとめて起動しています。
ただし、起動時 (load_psgi時) にだけ cwd を設定しているため、cwd 依存のコードがあるとうまく動きません。
単にプロセス数も減らせますが、それぞれのアプリケーションで共通で使うモジュールがかなり多いので、それらを fork 前にロードして共有しておくことで、プライベートメモリ使用量を削減しようという意図もあります。
メモリリークや Copy on Write が発生したプロセスを捨てる
上記のまとめた psgi アプリケーションを start_server と plackup 経由で起動しています。
start_server 用には以下のような環境変数を設定しています
export KILL_OLD_DELAY=15
export ENABLE_AUTO_RESTART=1
export AUTO_RESTART_INTERVAL=3600
exec setuidgid cho45 \
$PERL/bin/start_server --path=/tmp/backend.sock --port=5001 -- $PERL/bin/plackup -p 5001 -s Starlet\
--max-workers=5 \
--max-reqs-per-child=500 \
-a backend.psgi
ENABLE_AUTO_RESTART によって、時間経過で自動的にプロセス全体を再起動しています。再起動間隔は AUTO_RESTART_INTERVAL に決まり、この場合1時間ごとになっています。
KILL_OLD_DELAY には新プロセスが起動して、リクエストが受けつけられるようになるまでにかかる時間を余裕をもって指定します。これを指定しないと、プロセス再起動がかかるたびに、モジュールなどのロードが終わるまでの数秒アクセス不能時間ができるので、特に ENABLE_AUTO_RESTART する場合は必須そうです。
これで、もしメモリリークしていても1時間以内に綺麗になることが保証されるとともに、fork した worker プロセスが働いて Copy on Write が起こってプライベートメモリ量が増えたとしても、1時間以内に fork しなおしになるため、共有メモリ量が一定より高い状態を保つことができます。
余談:プライベートメモリ使用量を観測する
Linux のプロセスが Copy on Write で共有しているメモリのサイズを調べる - naoyaのはてなダイアリー にある shared_memory_size.pl が便利でした。共有メモリの割合を表示してくれるのでわかりやすいです。
Starlet のプロセス名をわかりやすくしたかったのも、このスクリプト実行時に指定しやすくするためでした。
こんな感じで使っています。
shared-memory-size.pl `pgrep -f /srv/www/backend.psgi` PID RSS SHARED 29583 55460 47792 (86%) 29584 55760 44688 (80%) 29585 65224 41396 (63%) 29586 56280 44704 (79%) 29587 55352 44660 (80%) 29588 58908 46748 (79%)
起動してすこし経ったあとの状態です。起動直後は90%以上ですが、プロセスが動くごとに少しずつ共有割合が減っていきます。自分の環境で、観測したうちだと60%ぐらいまで下がるようです。
ps -c で見るメモリ使用量には共有分が考慮されていないので、実際の物理メモリ使用量よりもかなり大きく出ます。仮に1プロセスあたり70MBぐらいメモリを消費していても、うち40MBぐらいが共有であることを考えると、worker プロセス1つあたり30MB、5プロセスで150MB程度の物理メモリ消費量になります。