これを読んだ。おおむねOCD(強迫性障害)の治療についての話。原著は1997年なので丁度20年前の本。
なぜOCDを題材とするか?という疑問があったけど、本文中で理由も述べられていた。「プラセボが効かない」「症状を患者自身で自覚できる」「脳のPET検査に症状がでる」あたりから科学的に効果が検証可能であり、治療の結果として患者の意思と行動により脳で起こっている症状を改善できる (思考と行動により脳の活動を変化させて治療することができる) ことがわかったから、と理解した。
OCDがメインだけど、他のことにも応用できると書いてある。他のことに応用するときに重要なのは、自分がそれを直したいと思えるか。
本文は繰り返し繰り返し症例 (具体例) と4段階法の実践方法が書いてある。ひたすら繰り返しなので飽きるっちゃ飽きる。
認知行動療法
この本はだいたいは行動療法と書いてあるけど、認知行動療法とあまり区別されてはいない。
「公平な観察者」(アダム・スミスの概念) を有効活用・強化し気付き(マインドフルネス)を得ることが重要とのこと。昨今のマインドフルネスの流行りにのって新装版が出たのかな?
公平な観察者
元々はアダム・スミスが言いだした概念らしい。アダム・スミスといえば「神の見えざる手」の人で、自分の中では「市場原理の人」というイメージから経済学の人だと思っていたが、哲学者だったようだ (常識なんだろうが)。
「公平な観察者」は自分のなかにある利害から独立して客観的に自分を判断する存在。なんとなく確かにそういうものは自分のなかにはあることはわかる。表層的な行動、というよりも自動的な反応に対して、一方でそれを認知し正確な判断をし、善し悪しの裁定を行う。
マインドフルネスって言葉が流行ってるけど、瞑想と混同されている。瞑想はつまり「公平な観察者」の能力を高める方法論なのではないかと思う。反応の前に確実に公平な観察者の裁定を行い、行動する。そのために一旦は刺激は受容したうえでおいておく。というか「公平な観察者」と「気付き (=マインドフルネス)」はほぼ同じもので、公平な観察者の能力に注目したものがマインドフルネスではないかと思った。まぁ言葉の定義よりも心を鍛えよという話なのだが……
賢明な仲裁者
新装版だと前書きにこういう言葉が増えているが、この本だと公平な観察者との違いがいまいちわからなかった。