STM32 には出荷時点でブートローダーが入っていて、様々な方法ですぐ書きこめるようになっている。ブートローダーは、書き換えできない「システムメモリ」と呼ばれる領域に入っている。
ユーザーコードからでも、このシステムメモリにジャンプすればブートローダーのモードに入れる。入れるのだけど、このブートローダーに入る方法について AN2606 にはこう書かれている
In addition to patterns described above, user can execute bootloader by performing a jump to system memory from user code. Before jumping to bootloader user must:
• Disable all peripheral clocks
• Disable used PLL
• Disable interrupts
• Clear pending interrupts
System memory boot mode can be exited by getting out from bootloader activation condition and generating hardware reset or using Go command to execute user code.
つまりいろんなものを初期状態に戻さなければいけない。これは、まぁめんどうくさい……
同様の事例をググってみると、マジックコードをメモリに書きこんで (普通のグローバル変数でも良いし、メモリを節約したいなら、どうせリセットするのだし適当なアドレスに書きこんでいい)、システムリセットを起こし、(メモリは初期化されないので) マジックコードを検出して、リセット直後のあらゆるペリフェラルが初期化される前にブートローダ(システムメモリ)へジャンプをかけるという方法がひっかかる。
リセット直後にジャンプするほうがあきらかに楽。
ChibiOS では
board.c の __early_init() というのがスタック初期化直後に ChibiOS のブートストラップコードのアセンブリから呼ばれてくるので、ここにジャンプコードを実装してやる。
以下のようになった。いろいろ試したあげく、結局ほぼstackoverflowの内容と同じだけど、どうしてもうまくいかなかったため調べていたら、どうも __enable_irq() が必要ということがわかった。
STM32F072xB_SYSTEM_MEMORY の位置には初期スタックポインタのアドレスが入っているはず、、なんだけどリセットからくると(?)ダメみたいなので、定数値を入れている。STM32F072xB_SYSTEM_MEMORY+4 が実際のジャンプ先。
// board.c
void __early_init(void) {
if ( *((unsigned long *)BOOT_FROM_SYTEM_MEMORY_MAGIC_ADDRESS) == BOOT_FROM_SYTEM_MEMORY_MAGIC ) {
// require irq
__enable_irq();
*((unsigned long *)BOOT_FROM_SYTEM_MEMORY_MAGIC_ADDRESS) = 0;
// remap memory. unneeded for F072?
// RCC->APB2ENR |= RCC_APB2ENR_SYSCFGEN;
// SYSCFG->CFGR1 = 0x01;
__set_MSP(SYSTEM_BOOT_MSP);
( (void (*)(void)) (*((uint32_t *)(STM32F072xB_SYSTEM_MEMORY+4))) )();
}
//si5351_setup();
stm32_clock_init();
}
定数はこのようになっている。STM32F072xB_SYSTEM_MEMORY は型番によって違うので調べる必要がある。リファレンスマニュアルに書いてある。
// board.h
#define STM32F072xB_SYSTEM_MEMORY 0x1FFFC800
#define BOOT_FROM_SYTEM_MEMORY_MAGIC_ADDRESS 0x20003FF0
#define BOOT_FROM_SYTEM_MEMORY_MAGIC 0xDEADBEEF
#define SYSTEM_BOOT_MSP 0x20002250
実際のジャンプするコードはこう。メモリにフラグを書いてリセットしているだけ。
*((unsigned long *)BOOT_FROM_SYTEM_MEMORY_MAGIC_ADDRESS) = BOOT_FROM_SYTEM_MEMORY_MAGIC; NVIC_SystemReset();