http://www.rigexpert.com/index?s=articles&f=aas で紹介されている回路を一通り自分の中で整理してまとめました。詳しい動作は今まで書いた各エントリにして、ここではそれぞれの特徴を書いてみます。
「アンテナアナライザー」と書いていますが、これをさらに発展させて入出力ポート両方で測定するようにすればネットワークアナライザになるはずです。
ダイオードディテクタ
- ダイオードで検波するので、小電力時の非直線性が問題になり (誤差が多い) キャリブレーションが必要になる
抵抗1本タイプ
[tech] アンテナアナライザの回路 シリーズ抵抗1本型 | Tue, Mar 1. 2016 - 氾濫原
入力電圧・負荷電圧・負荷電流
- 回路が簡単
- 電流検出部で小さな電圧を測ることになる
- リアクタンスの符号は不明
ブリッジタイプ
[tech] アンテナアナライザの回路 ブリッジ型 | Tue, Mar 1. 2016 - 氾濫原
入力電圧・負荷電圧・負荷電流・平衡電圧
- 電圧反射係数を別途測っているので、SWR の精度があがる (特に1.0付近)
- リアクタンスの符号は不明
ログアンプ検波
[tech] アンテナアナライザの回路 - ブリッジの三つの電位差を測るタイプ | Thu, Mar 3. 2016 - 氾濫原
AD8307 を使って検波するタイプ。
入力電圧・負荷電圧・平衡電圧
- キャリブレーション不要
- 差動接続のためブリッジの平衡部に直結できる
- リアクタンスの符号は不明
ログアンプ+位相検出
[tech] アンテナアナライザの回路 ー 位相検出器を使ったタイプ | Fri, Mar 4. 2016 - 氾濫原
AD8302 (ログアンプ+位相差) を使って検波するタイプ
方向性結合器 複素電圧反射係数
- キャリブレーション不要
- 移相器を使うものは移相器の調整が必要だがリアクタンスの符号がわかる
複素入力電圧・複素負荷電圧
- キャリブレーション不要
- リアクタンスの符号がわかる
- DDS が2台必要
ヘテロダイン系
[tech] アンテナアナライザの回路 ー ヘテロダインを使ったタイプ | Fri, Mar 4. 2016 - 氾濫原
- より高い周波数を扱う場合に検討の余地あり
- 回路はより複雑
- DSPが必要
雑感
ダイオードディテクタを使う場合、現実的には後段にオペアンプによるバッファ回路を検出電圧分だけつける必要があり、部品数がかなり増加する。
AD8307 で検波する場合、ほかの部品は殆どいらずMCUなどのADCに接続できる。しかも精度が高い。アナログ部分が格段に少なくなるので設計しやすい。値段が高いのだけが問題。
AD8302 で検波する場合、リアクタンス符号がわかるのが嬉しい。しかし AD8302 はかなり高い。そしてDDSも2台必要。
作るなら
これまでを踏まえて、〜50MHz ぐらいまでを対象に、コスト的にそこそこで楽に作れてよさそうというのは AD8307 とブリッジを使うタイプだと思う。
コストをもう少しかけていいのなら、AD8302 + DDS2台 も十分に簡単な回路で作りやすそう。リアクタンスの符号まで知りたいならこれが一番簡単そうに思う。
リアクタンスの符号までわからなくても、現実的にはあまり問題にならないことのほうが多そう。アンテナの調整を目的とする場合リアクタンスは「同調しているかどうか」の判断に使うなら符号はいらないし、調整してリアクタンスが増えるか減るかでも符号を推測できる。