特に資産をドル建てで持つことの意味をちゃんと理解しているとはいえなかったので自分なりに整理してみる。
運用の基本的な考えかた
購買力の維持または増加を目指す。これは、円やドルといった「通貨の額面」を増やすことではなく、「資産全体の実質的な価値」を保つ、または高めることを意味する。
すべての資産運用にはリスクが伴い、確実な無リスク資産は存在しない。これは現金であっても同じ (インフレリスク)。
購買力が数字にできればいいが……
現金そのものの価値(円の購買力、ドルの購買力)は、インフレや経済政策によって変動するため、正確に測りにくい。
現金の価値は相対的なものであり、特定の物価や資産に対してどれだけ交換可能かによって初めて測定可能になる。
「外貨」として持つべき割合
家計の潜在的な外貨依存度の割合が外貨(というかドル)を持つべき割合の目安となる。家計の外貨依存度が30%なら、30%は外貨にするという目安。
これらが一緒の割合ならドル円の関係性が今後変化しないという賭け。ドルのほうが多いなら円安になるという賭け、円のほうが多いなら円高になるという賭け。
家賃や教育費はほぼ外貨に依存しない。ガソリンやGAFAのサービスはほぼ外貨。賃貸生活の場合、家計のうち家賃に占める割合は多く、円への依存度が高い。必要以上にドルを持っていると、円高となったとき、家賃の支払いが重くなっていく
「外貨建て」と「外貨の所有」は別
ただしドル建てで投資していても、資産の種類によって「外貨」として扱うべきものと「価値保存資産(購買力維持資産)」として扱うべきものに分けられる。
- ドル建ての債券や現金 → 外貨資産 (短期的な為替の動きのヘッジとして働く)
- 金・不動産 → 価値保存資産
- 株式 → 企業によって異なる
- グローバル企業(収益が多国籍にわたる企業):価値保存資産
- ローカル市場依存企業(米国内市場主体の企業):外貨資産
特に株式は、為替の変動よりも株価の変動が影響力を持つため、長期的には為替リスクが相対的に小さくなる。
つまりドル建てで資産を所有しているといっても、実際は債券・外貨預金や、株式の一部が外貨建て資産とみなせる部分であって、長期的にはドル建てであるか円建てであるかは、購買力の維持という観点ではあまり関係がない。そして短期的な為替の動きとも関係がない。
とすると価値保存資産についても、流動性が高い(いつでも買えていつでも売れる)ドル建てで持つのが正解ということになる。
円建ての運用は?
長期で考えると特にする必要はない。
「円」としては生活防衛資金は1〜2年分ぐらい必要。これは円として持つことが目的なので銀行の預金で良い。